イタリアの商業と中心市街地について
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概要
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東北地域では特に少子高齢化が予想以上の速度で進行していることは、まちづくりについて新たな視点の導入を必要としていると考える。その一つは外延的都市地域の拡大膨張から中心部へ向かっての収縮・コンパクト化である。この点においてイタリアの旧市街地を中心としたまちづくりが今後の日本にとって大いに参考となる。イタリアでは旧市街地の景観保存と商業振興とが両立する。本論では、イタリア小売商業構造の現状とそれを導いている商業政策や都市計画について分析する。また、イタリア諸都市の景観はそれぞれの都市の固有の伝統文化や歴史にもとずいている。そこでは地方分権の進展が都市レベルの都市計画や商業計画の策定を後押しをして、地域特性を活かしたまちづくりを可能としている。イタリアにみられるように、中心市街地の古いまちなみを住居、ものづくり、販売さらに購買などの場として活用することで、付加価値の高い製品を生み出す地域産業とまちづくりとを有機的に一体化させることが地域の魅力を高める。また、そのことは観光地としての魅力や地域雇用を創出している。すなわち、地域特性を強化する方向で地域経済の活性化を実現できることをイタリアの事例は示唆しているといえよう。
- 2006-02-28