西尾実の言語生活論に関する一考察 : 「社会意識の発達」に焦点を当てて
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿は、国語教育に言語生活概念を定位させるために、「社会意識の発達」に着目した西尾実の言語生活論の内実に迫ろうとするものである。西尾は、「言語生活」の視座から言語を機能的なものとして捉え、その場合の言語は、「概念としての言語」「要素としての言語」「<もの>としての言語」から区別されなければならず、「働きとしての言語」「生きたことば」であると規定した。そして、この「生きたことば」とは、「通じ合い」を目的とした「愛語」の精神に通じる「真心そのものから迸り出たことば」であり、さらにそれは、「社会意識に徹した生き方の熟達」によって生まれる言葉であると主唱した。「社会意識の発達」に着目した西尾の言語生活論は、コミュニケーション不全が叫ばれる今日にあって今なお、私たちの前に燦然と輝く普遍の価値をもつ理論であり、多くの実践的示唆を与えるものである。