天皇の神秘数字 : 二三五という数字
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
天武・持統時代から強力に天皇思想(日の皇子思想)が展開されてくる。天の存在であるということを力説することになる。その思想を支えたものに,天文暦法があった。太陽の運行を示す暦法と関係する数字が神聖数として扱われ,その神聖数によって,『書紀』の紀年構成また『萬葉集』の歌数構成が為されている。右のような指摘をしたのは小金丸研一である。小金丸は,次の二つの点で,暦数の二三五という数字が用いられていることを言っている。一,『寓葉集』巻一,巻二の総数は二三五首であった。二,『書紀』の雄略から持統までの元嘉暦の適用年間は二三五年間である。わたくしは,小金丸が指摘した二三五の意義を紹介し,そこに『書紀』の紀年構成にその二三五がどのように組み込まれているかを,数例見出し,新たに付け加えた。特にこの二三五が,元正天皇に関わって多く用いられていて,「初期万葉」との関わりが窺われる。
- 2005-12-31