クロスボーダー・ガバナンスの多様性 : 台湾の経済と国内体制のグローバル化
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概要
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台湾の産業は、政府の産業政策のもとで情報革命とグローバル化を進展させ、他国の経済と相互依存関係を深めてきた。その国際競争力は、2004年の世界経済フォーラムのランキングで4位、IMDの世界競争力ランキングでも11位と高い水準を保っている。しかし、台湾(中華民国)は、1971年に国連を脱退して以来、世界の主要国と断交し、国連機関にも参加せず、国際制度上は孤立を続けている。本稿においては、台湾が、クロスボーダー・ガバナンスの一般論に見られるような国際協調のメカニズムへのアクセスに制限を受けざるを得なかったにもかかわらず、その活動が国際的な協調の枠組みに沿ったものであるのは、台湾独自のクロスボーダー・ガバナンスのメカニズムが働いてきたからであると考える。すなわち、両岸経済の統合過程においては、他国にみられるような地域間の協定や政府間協議などに代わるものとして、民間の力が協調メカニズムの作用をしていることを、国際レジームレベルにおいては、経済的・政治的な誘因が台湾を見えざるグローバル・ネットワークに導いてきたことを明らかにする。
- 2005-10-31