金融の不安定性と景気循環 : Bernanke and Gertler (1989, AER)の確率的動学分析(<特集>ケインズ経済学の再検討)
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概要
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この論文では,Bernanke and Gertler (1989, AER)の確率的動学モデルの分析を通じて,銀行部門の不安定性と景気循環の相互作用のメカニズムを明らかする.銀行がマクロショックに直面しかつそのリスクを預金者に移転できないとき,マクロリスクは銀行部門を直撃する.銀行と借り手企業家だけでなく銀行と預金者との間にもインセンティブ問題が発生し,預金者による銀行取り付けが最適契約の一部として導かれる.取り付けによって生じる資本の喪失と借り手の自己資本の減少が引き起こす負のバランスシート効果の相互作用が景気の変動を生み出す.バランスシート効果のみに焦点を当てているBernanke and Gertlerが描写した世界よりも,不況はより持続的にかつ深刻になることが明らかにされる.
- 2006-03-30