ケインズ『一般理論』における賃金と貨幣(<特集>ケインズ経済学の再検討)
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概要
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ヒックスのIS-LM分析に代表されるケインズ解釈とは異なり,ケインズは彼の『一般理論』を価値理論あるいは「需要と供給の一般理論」に基礎づけようとしていた.総需要と総供給の乖離を調整するのは価格の役目である.他方,彼は貨幣賃金の硬直性と貨幣利子率の高位安定性を伝統的な市場理論とは異なる視角から捉えようとした.すなわち,完全雇用と不完全雇用,経済の安定性と不安定性という視角からである.本論文ではケインズの言う貨幣の「本質的特性」に光を当てることによって,貨幣賃金の硬直性と利子率の高位安定性が経済システムにいかなる影響を与えるかを考察しようとした.
- 2006-03-30