コラーゲン線維の配向性が生体組織の運動機能を決める : マイクロ波による新しい測定法の適用
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概要
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最近注目を浴びているコラーゲン線維は,細胞外マトリックスの主要な構成要素であり,その配向性は生体組織の機能に大きく影響することが考えられる.ところが,生体組織におけるコラーゲン線維の配向性はほとんど注目されておらず,また,その配向性を測定する適切な方法もなかった.著者は,コラーゲン線維の配向性を25秒以内という迅速さで測定できる世界的に新しいマイクロ波方式(Osaki's microwave method)を見出した.その原理は,プローブとしてのマイクロ波とコラーゲン分子鎖の局所運動(β緩和)部の双極子との相互作用から,コラーゲン線維の配向性を検知するというものである.コラーゲンの分子構造とマクロの生体機能を繋ぐツールとして,マイクロ波方式を皮膚,骨,肺などの生体組織に適用した.その結果,コラーゲン線維の配向分布は生体組織における伸び縮みなどの運動機能をきわめて合理的に反映していることがわかってきた.そして,コラーゲン線維の配向分布に基づいた皮膚移植法も提案することができた.今後,様々な生体組織におけるコラーゲン線維の配向性と機能の関係を生活システムの観点からアプローチしたい.
- 奈良県立医科大学の論文
- 2005-12-31
著者
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