ウスギモクセイ[Osmanthus aurantiacus(Makino)Nakai var.thunbergii(Makino)Honda]上のさび病菌, Zaghouania phillyreae Patouillard
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概要
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この論文は鹿児島県内のウスギモクセイ(Osmanthus aurantiacus var.thunbergii)に発生したさび病菌(Zaghouania phillyreae)についての研究をまとめたものである.本菌の生態, 形態, 生理的性質および防除などについて次のような結果がえられた.1.ウスギモクセイは本菌の寄主として, 今までに報告されていない樹種である.2.毎年12月下旬ないし1月上旬から葉の裏側に冬胞子および小生子が形成され, 小生子は晩冬ないし早春, 新芽, 新葉にはげしいさび病をおこす.冬胞子および小生子は春までに消失する.3.春, 新芽, 新葉にさび胞子腔およびさび胞子が形成される.4.さび胞子は新葉に侵入する.その病原性は強くなく, おこす病徴もめだたない.葉をうすく変色させる程度である.しかし, 夏から初冬にかけて, その変色を強めそこに新しい冬胞子堆, 冬胞子および小生子を形成する.5.夏胞子は冬胞子堆が形成された当初から, わずかながらその中に混って形成される.しかし, 冬胞子および小生子の消失と反比例するように数が増え, 2月下旬ないし3月中旬には, 全部の胞子が夏胞子に交替する.6.夏胞子は初夏まで観察される.しかし, 病原性は認められず, 本菌の生存上の意義は今までのところ不明である.7.本菌は薩摩半島の先端近くから北へほぼ70kmまでの9町, 15か所以上に発生が認められた, 寄主植物のほとんどはウスギモクセイであった.8.小生子は低温(5〜10℃)でも, かなり発芽し, その発芽適温は20℃前後であった.9.さび胞子および夏胞子はよく似た発芽性を示した.すなわち, 共に5℃前後から発芽しはじめ, 35℃においても20%前後の発芽率を示した.発芽適温は25℃前後と考えられた.10.発芽適温において, いずれの胞子も水中で1時間以内に発芽しはじめた.さび胞子および夏胞子は2時間程度で, 小生子は6時間程度でそれぞれの最大発芽率に達した.11.ウスギモクセイは本菌に対して感受性が強いと認められた.12.冬から春にかけてのダイセン水和剤の散布は春の発病をいちじるしく減少させた.
- 鹿児島大学の論文
- 1990-03-15
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