5.風化花崗岩斜面崩壊跡地における植生の回復過程
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概要
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本研究は表層崩壊発生跡地における自然的な植生の回復過程を明らかにする目的で行った。鹿児島県紫尾山風化花闘岩地域に分布する新旧の崩壊跡地の中から10箇所を調査斜面として選定して,侵入木本植生の種名,位置および樹齢を調査した。得られた結果をまとめると次のようである。(1)崩壊後6年経過した調査斜面にはオオバヤシャブシやスギが多かったが,崩壊後42年および約60年経過した調査斜面ではそれらは少なく,スダジイやタブノキが多かった。ヒサカキはどの調査斜面にも多く生育していた。(2)崩壊後6年経過した調査斜面に生育する植生の分布は崩壊跡地周縁部に集中していた。崩壊後42年および約60年経過した調査斜面の周縁部には樹齢の大きな個体はあまり認められず,むしろ若い個体が多く分布していた。また,若い個体は樹齢の大きな個体の周囲にも多く分布していた。(3)崩壊後42年および約60年経過した調査斜面に生育する植生は,大部分が樹齢10年以下であった。その主な構成種は,ツバキ科,ブナ科,クスノキ科の木本植物である。オオバヤシャブシ,クロマツ,ヤマザクラなどの先駆種は各調査斜面において最大樹齢を示した。(4)崩壊跡地において木本植生の個体密度と種数は侵入・成長・枯死を繰り返しながら時間的に変遷している。
- 1995-10-20
著者
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