9.小流域における治水ダム群が流出に及ぼす影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
治山ダムには一定の理水効果が期待できる。すなわち,洪水時,雨水を治山ダム群に一時的に貯留することにより出水を遅延させ,出水のピーク流量を低下させる洪水緩和効果,雨水を治山ダム群に貯留することにより地下部へ雨水の浸透を増加させ,基底流量を増大させる地下水補給効果などが期待される。本研究は,水源地における治山ダム群の理水効果を定量的に把握することである。鹿児島市を流れる甲突川の上流部に設けられた小流域における観測から治山ダム群が流出に及ぼす影響を調べた。さらに,治山ダム群の建設前後の流出特性を比較検討した。得られた結果をまとめると次のようである。1)治山ダム群完成後,短期流出ハイドログラフには1山降雨に対して2山ハイドログラフが観測されるようになった。第1のピークは治山ダム群の下流側に降った雨水の流出により形成されたものであり,第2のピークは治山ダム群が雨水により満水になったのちダムの越流流出により形成されたものである。2)短期流出ハイドログラフのピーク流量を治山ダム群建設前と建設後について比較した。治山ダム群の建設によりダム群総貯水容量が約300m^3増加した結果,ピーク流量は60〜80%に減少した。3)短期流出ハイドログラフにおいて,増水の早さを治山ダム群建設前と建設後について比較した。治山ダム群の建設後は建設前に比べ流量の増加が遅くなった。4)今回得られたデータでは,治山ダム群の建設が直接流出量や直接流出率に及ぼす影響を明らかにすることはできなかった。このことについては,さらに検討する必要がある。
- 1992-03-30
著者
関連論文
- 3.高隈演習林におけるカシノナガキクイムシの生立木へのアタック
- 2.林内におけるカシノナガキクイムシの被害発生状況と被害木の空間分布様式
- 5.鹿児島大学高隈演習林に植林されたスギ材の材質と利用(第6報) : ヤナセスギ材の機械的性質と比重の関係
- 3.高隈演習林における水文観測施設(高隈第2号量水堰堤)の建設について
- 2.鹿児島大学農学部附属高隈演習林気象報告(1994年)
- 2.鹿児島大学農学部附属高隈演習林気象報告(1992年〜1993年)
- 1.鹿児島大学高隈演習林における林分成長量試験地定期測定資料(III) : 広葉樹学術参考保護林試験地の資料
- 2.鹿児島大学農学部附属高隈演習林気象報告(1990年〜1991年)
- 2.鹿児島大学高隈演習林における固定試験地定期測定資料(II) : ヤクスギ成長量試験地の資料
- 1.鹿児島大学高隈演習林における固定試験地定期測定資料(I) : 固定試験地の概要
- 9.小流域における治水ダム群が流出に及ぼす影響
- 1.高隈演習林における雨量観測記録 : 1984年〜1989年の観測記録