電子商とニューエコノミー時代におけるテレビ広告のあり方 : TVCFの消滅論と存続論を超えて
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概要
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新しい経営様式または新型経済にとっては新しいマーケティング、コミュニケーション手段が必要になる。今までこの仕事を担っているあの莫大な産業としてのテレビ広告は今後登場するオンライン広告の敗者になることは明らかだと心配する人は少なくないだろう。Georges Gilderのような論者は『テレビの消える日』(Life After Television)という著作を書いて、テレビの退陣まで予告しようとした。だがはたして、インターネット広告、電子メール広告はテレビコマーシャルの役割を果たすことができるのだろうか。たしかに、双方向性や即時性や経費節減能力などは新広告の長所だと認めなくてはいけない。それから携帯媒体によって茶の間を離れてどこでも放映でき、いつでも生活者に情報を提供できるようにもなるだろう。しかしテレビ広告にはまだいくつかの利点がある。少なくとも今までのテレビ広告に比べると、インターネット広告はまだ豊かで面白い内容を見せることができない。欲望が貧弱なこの現代の社会(Desireless Society)にとっては何よりテレビ広告が提供できる夢世界が必要となる。その上、インターネット広告はあまりにも個人的、孤立的な情報手段である。応接間にある人間と人間の触れ合い話題性の暖かさを欠く。一方、生活者は単純にテレビを放棄する気持がない。近年(1998)明治学院大学と電通との共同社会調査の結果によると次世代のオピニオンリーダー〔Opinion Leader〕像はコンピュータに多いに時間を使うにもかかわらずテレビに対する関心も衰退しない人たちである。テレビが到来したので新聞と雑誌のような活字媒体が消えるわけがなかったようにコンピュータはテレビの完全な代役になる将来がまだ遠いだろう。消滅か存続かより変貌になると思う。そのように期待する。そのことを実現できるためにテレビは情報技術(データベース技術、CG技術、衛星、ケーブル放送技術など)の支援を徹底的に利用して欲しい。TVCFのステレオタイプ、モデルによって量産し、地域個別型(例えばイスラム社会型、東アジア型、EU型)、地球共通型の広告メッセージを製作し、ソフトビジネスの繁栄に貢献できることは焦点である。同時に、テレビ技術自身の改善(画面、画質、撮影技能)、テレビ業界の構造改革(保護的な商慣行の排除、価格透明性、国際規制緩和、生活者への思いやり)それからメディアプランニングの経済合理化、メッセージ内容向上などもこの変貌の達成の不可欠な条件であろう。
- 2005-03-10