フェノール樹脂積層板の難燃性および発煙性に及ぼすトリクレジルフォスフェートの効果
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概要
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最近,ベンゼン核にハロゲンを置換したある種のハロゲン難燃剤は,臭素難燃剤あるいは塩素系難燃剤にかかわらずダイオキシンが発生することが確認されたため,従来使用されてきたハロゲン系難燃剤からリン系難燃剤に切り替える方向で,難燃性高分子材料の開発研究が進められている。そのため,リン系難燃剤による高分子材料の難燃化機構に関する研究が次第に多くなりつつある。しかしながら,リン系難燃剤の難燃機構の主体は,難燃剤による高分子材料の脱水による高分子材料表面に形成される炭化被膜により,火炎が遮断されるとともに,酸素の拡散を抑制するためであるとするものが多い。著者は,リン系難燃剤であるトリクレジルフォスフェートを用いて高分子材料の一種であるフェノール樹脂積層板の難燃性および発煙性を検討した結果,難燃性に関しては低温熱分解挙動からも,明らかなように,トリクレジルフォスフェートの7%の添加量で難燃性が最も低い値を示した。発煙性に関しては低温熱分解性状と関係なく,一様にトリクレジルフォスフェートとの添加量の増加と共に発煙量が増加する。その発煙量の増加は煙り重量ならびに煙り粒径の増大によることを確認した。さらに,トリクレジルフォスフェートによる難燃効果を明らかにする目的で,トリクレジルフォスフェートの添加量による積層板の炭化速度の影響を検討したが,トリクレジルフォスフェートの添加量の増加と共に炭化速度は逆に減少することを見出だした。その結果,リン系難燃剤による難燃効果は固相における積層板の分解を抑制する作用で生ずるためで,炭化被膜の形成によるものではないことを明らかにした。
- 1996-03-30
著者
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