2004年の台風第16号(Chaba)による瀬戸内海における高潮の発生メカニズム
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概要
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2004年8月30日,九州から中国地方を進んだ台風第16号により,瀬戸内海沿岸では記録的な高潮が発生した.これにより,高松港や宇野港などでは既往最高潮位を更新した.この高潮事例について,潮位データの解析を行い,高潮モデルを用いて数値実験を行った.その結果,今回の高潮に最も寄与したのは吹き寄せ効果であり,台風の移動に伴って高潮域が瀬戸内海を東進する状況を再現できた.特に,この過程の中で,高松付近では最大偏差の発生時刻が台風第16号の最接近時より2時間程度遅れて,大潮期間の満潮時刻とほぼ一致したことが既往最高潮位につながったことがわかった.また,瀬戸内海の形状と台風の移動に伴う風向の変化を考慮することにより,瀬戸内海における吹き寄せ効果を6つの海域に分けて考えることができた.さらに,海域毎で吹き寄せ効果と吸い上げ効果の寄与の比率の違いについても評価した.その結果,それぞれの効果の顕著なタイミングは,台風の位置や風だけでなく,地形などの影響も受けて,海域毎に異なることがわかった.
- 2006-11-30
著者
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高野 洋雄
気象研究所
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佐藤 祐一
高松地方気象台観測予報課
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鎌倉 和夫
高松地方気象台観測予報課
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峯松 宏明
高松地方気象台観測予報課
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依岡 幸広
高松地方気象台観測予報課
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久重 和久
高松地方気象台観測予報課
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清水 栄一
高松地方気象台観測予報課
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福永 昭史
高松地方気象台観測予報課
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谷脇 由彦
高松地方気象台観測予報課
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谷條 薫一
高松地方気象台観測予報課
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峯松 宏明
高松地方気象台観測予報課:(現)気象庁海洋気象課
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高野 洋雄
気象研究所台風研究部
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高野 洋雄
気象庁地球環境・海洋部海洋気象課海洋気象情報室
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