保育実践における子どもの発達と絵本の活用についての一考察
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概要
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新学期の新人園児は保育者が子ども理解も不十分なうちに日々目覚しい変化を見せていく。そうした子どもたちへの初期への対応ほその後の園生活を大きく左右することにもなる。そこで保育者は、個々の子どもの発達課題に応じた援助のタイミングや効果的な媒体をいかに見出し活用できるかが問われることになる。こうした時期の媒体として絵本は、園具・教具として幼稚園に欠くべからざる教材であると同時に、どの家庭にも子どもに与えらている園生活と家庭を結ぶ媒体である。本研究では3歳男児K男の姿から絵本を発達援助の媒体として捉え、登園や遊びに消極的だったK男が慣れ親しんだ絵本を通しての保育者とのかかわりを手がかりに、望んでいた遊びへスムーズに移行することができた。この事例からも分かるように、園具・教具には教育環境としてそれぞれ特有の意味や目的があるが、それのみに捉われず子どもの発達に即した媒体として捉え、その場に求められる柔軟な発達援助の方法を実践できる保育者の力量が身につくよう学生指導に努めねばならない。
- 2005-12-20