幼児の描画過程における摸倣と美的経験
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
幼児は模範となるオリジナルの描画から必要な情報を摂取し、その情報を自分の絵に反映する過程で、どのようなことを経験するのだろうか。モレンハウアーは模範を模倣する過程で行われる「変形」に注目して芸術作品を模範としてミメーシスの実験を行った。変形は視覚的なものから、模範から誘発される心的な変形まで多様相である。模範を模倣する過程で、幼児の内部に起こる反省的運動が表現運動に変換したり、模範への興味が表現運動を引き起こし、その過程で反省的運動がなされたりする。幼児はここで、美的な経験をしたと言える。本稿は、モレンハウアーが行ったミメーシスの実験結果をもとに、筆者が収集した4,5歳児の描画過程における模倣の3タイプをモレンハウアーが注目した「変形」をキーワードにして再検討し、そこで美的経験がなされたことを確認しようとしたものである。
- 2005-12-20