日本海地域の先第三紀テクトニクス : ロシア側からの展望(<特集>日本海拡大前の東アジアの地体構造-その2-)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
この総説では,日本海地域の地質構造と地質発達史について,最近得られたデータに基づき,独自の広域的なプレート構造論的モデルを提供する.添付したいくつかのジュラ・白亜紀古地理復元図が,この地域の発達史に関する著者の地球動力学的モデルを表現している.このモデルは,カリフォルニア型のトランスフォーム大陸縁が中生代〜新生代の東アジアにおける最も重要な地球動力学的構造場であったとする点で,従来のモデルと明瞭に異なる.著者のモデルによって先新第三紀における日本列島の位置を地質学的に復元すると,中央シホテアリン断層・棚倉構造線・中央構造線は,白亜紀前期には1本の構造線であったと考えられる.白亜紀前期と古第三紀におけるトランスフォーム型大陸縁に加えて,ジュラ紀と白亜紀後期の沈み込み型大陸縁および白亜紀前期の島弧も認識されるが,シホテアリンの地質図に見られる巨大なS字構造は,白亜紀前期の横ずれ変位の結果と考えられる.さらに,一部の白亜紀前期・古第三紀火成岩類の性質は,特殊な動力学的構造場,即ち「スラブ・ウィンドウ」の存在を示すと考えられる.
- 2001-09-25