北陸地方に伝わる泥漬けに使用される"赤ベト"の特性
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概要
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北陸地方では泥漬け,つまり野菜を泥でつける食文化が伝承されている.本研究では,泥漬けで用いられる泥"赤ベト"の特性および漬け込むだナスの表皮が染色するメカニズムを明らかにした.数日間,赤ベトに漬けたナスの表皮は鮮やかなコバルトブルーになる.一般に,赤褐色の泥の化学的特性は豊富な鉄によると認識されてきた.赤ベトには,粘土鉱物の他に,石英や長石などのケイ酸塩鉱物,鉄ミョウバン,そして水酸化鉄が含まれていた.これらの鉱物の含有量は各地域の泥により変化した.蒸留水,塩酸水溶液および溶液の水質(pH, Eh,EC,そしてDO)の変化を9日間測定したところ,酸性条件下で加水分解により鉄イオンが溶出することが示された.以上の結果から,加水分解によりナスの表皮がコバルトブルーに変色する現象は,ナスの主要な色素であるanthocyanやhyacinに関係していることが示唆される.
- 2000-09-25