上総層群の火山灰層序及び上総・大阪・魚沼層群のテフロゾーンとの比較(<特集>房総半島における第四系の層序と堆積作用)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
房総半島の鮮新-更新統上総層群は250層以上の火山灰層を挟み,これらは岩相記載および記載岩石学的研究がおこなわれている.これら火山灰層は重鉱物組成によって,黒雲母に富む黒雲母型(B-type),角閃石に富む角閃石型(A-type),単斜輝石に富む単斜輝石型(C-type)に区分される.火山灰の岩相は細粒火山灰および粗粒火山灰に区分でき,粗粒火山灰は,結晶質,軽石質,スコリア質火山灰といった岩相の特徴がある.これら火山灰層は類似した特徴を持つものが,ある層準に集まる傾向があり,それら火山灰層の特徴によって下位より,テフロゾーンKz I,Kz II, Kz III, Kz IVという4つのテフロゾーンに区分される.Kz Iは多くの単斜輝石型粗粒火山灰層からなり,角閃石型粗粒火山灰層を伴う.Kz IIは黒雲母型細粒火山灰層によって特徴づけられる.Kz IIIは単斜輝石型スコリア質粗粒火山灰層が優勢で,少量の角閃石型粗粒火山灰層を伴う.Kz IVは多くの単斜輝石型軽石質粗粒火山灰層と少量の黒雲母型火山灰層を含む.大阪付近の大阪層群と新潟県の魚沼層群は上総層群とほぼ同時代の地層からなり,テフロゾーンが区分されている.これらのテフロゾーンと上総層群のテフロゾーンとを比較したところ,離れた地域間において,同時代のテフロゾーンの特徴は全く異なっている事がわかった.このことば,各堆積域のテフロゾーンを作る大きな要因が地域的な火山噴火活動であることを示している.テフロゾーンについての研究は,火山噴火活動の空間的,時間的変化についての多大な情報を提供するが,その情報は古く失われた可能性のある鮮新-更新世の火山体を含めた火山の噴火活動についての情報であると考えられる.
- 1997-03-25
著者
関連論文
- 上総層群の火山灰層序及び上総・大阪・魚沼層群のテフロゾーンとの比較(房総半島における第四系の層序と堆積作用)
- 118. 湿地堆積物と火山灰の帯磁率(その2)
- 117. 湿地堆積物と火山灰の帯磁率(その1)
- 静岡県の鮮新-更新統掛川層群上部の火山灰層とその広域対比
- 第三紀・第四紀境界層準の広域火山灰層:福田・辻又川・Kd38火山灰層
- 上総層群中・下部の火山灰層序
- 59. 上総層群の火山灰層序