福島県只見地域に分布する大塩層の火山層序とステージ区分
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概要
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東北日本弧内帯南部の只見地域には,中期中新世の海底で形成した珪長質火山岩が広く分布している.大塩層はその一部である.大塩層は,主部では下位より,塩沢川泥岩部層,蒲生川火砕岩部層および大白沢溶岩部層,真奈川溶岩部層,小蒲生沢火砕岩部層,八木沢溶岩部層,滑沢火砕岩部層,苧巻岳泥岩部層,石高沢火砕岩部層に区分される.調査地域北東部では下位より,塩沢川泥岩部層,蒲生川火砕岩部層,東岐山火砕岩部層,小金井山溶岩部層,大久蔵沢泥岩部層,高幽山玄武岩質火砕岩部層に区分される.蒲生川火砕岩部層,小蒲生沢火砕岩部層,石高沢火砕岩部層,東岐山火砕岩部層は,火砕流堆積物を主体とする.大白沢溶岩部層,真奈川溶岩部層,八木沢溶岩部層,小金井山溶岩部層は,流紋岩溶岩とハイアロクラスタイト,自破砕溶岩からなる.滑沢火砕岩部層は再堆積性の火砕岩からなる.高幽山玄武岩質火砕岩部層は玄武岩質ハイアロクラスタイトからなる.大塩層の火山活動は,4ステージに区分される.ステージIでは,斜長石斑晶を5.3%含むマグマが噴出して蒲生川火砕岩部層と大白沢溶岩部層を形成した.ステージIIでは,斜長石斑晶を2.7%含むマグマが噴出して真奈川溶岩部層を形成するとともに,Aタイプ貫入岩として貫入した.ステージIIIは,斜長石斑晶と石英斑晶をそれぞれ数%含むマグマが噴出して小蒲生沢火砕岩部層,八木沢溶岩部層,東岐山火砕岩部層,小金井山溶岩部層を形成するとともに,Bタイプ貫入岩として貫入した.ステージIVは,大型斜長石斑晶を数10%,大型石英斑晶を数%含むマグマが噴出して石高沢火砕岩部層を形成するとともに,Dタイプ貫入岩として貫入した.大塩層の玄武岩の活動は,南部ではステージIの活動終了以降,北部ではステージIIIの活動終了以降に始まった.
- 地学団体研究会の論文
- 1995-03-25
著者
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