宮古・伊良部諸島におけるウニヒザラガイの分布(<特集号>第2回国際ヒザラガイシンポジウム)
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概要
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Ferreira(1986)はインド太平洋域におけるウニヒザラガイAcanthopleura spinosaの分布海域は北緯25度以南・東経142度以西としている。沖縄県の先島諸島は一部この範囲内に含まれているが,これまで数報の出現記録はあるものの詳細な生息状況については調べられていない。我々は2002〜2003年にかけて宮古島を中心にウニヒザラガイの分布調査を行ったところ,宮古島北西部および伊良部島全域に生息していることが判明した。また他の先島諸島(石垣島,西表島,与那国島,波照間島)においては,与那国島にのみ生息していた。伊良部島の海岸は発達したサンゴ礁で囲まれた隆起石灰岩からなり,至るところに岩穴やクレバスなどが認められた。この地形は閉所を好む本種の生息環境として好適であると考えられる。また高密度な分布が見られた地点は伊良部,宮古両島間の海峡沿いに集中していることから,この一帯に存在する反時計回りの恒流が幼生の加入に関与していることが推測された。一方,他の先島諸島においても本種にとって地形的に好適と思われる岩礁が多数存在するにもかかわらずほとんど生息が確認されなかったことから,別の環境要因もウニヒザラガイの分布体系に関与している可能性が示唆された。
- 2006-05-31
著者
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佐々木 美穂
National Research Institute Of Fisheries And Environment Of Inland Sea
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佐々木 美穂
広島大学生物生産学部
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浜口 昌巳
National Research Institute Of Fisheries And Environment Of Inland Sea
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西濱 士郎
Seikai National Fisheries Research Institute
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