マゼラン海峡とフォークランド諸島の多板類相研究の現状(<特集号>第2回国際ヒザラガイシンポジウム)
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概要
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1958年から2003年までに各種探検調査等で収集された標本をもとに,マゼラン海峡とその周辺海域の浅海性多板類相を研究した。合計15種の多板類が認められ,そのうち1種は未記載種と考えられる。これらのうち14種はマゼラン海峡,ビーグル水道,エスタドス島に分布し,11種がフォークランド諸島に分布している。このような各地域の多板類相の比較の結果,フォークランド諸島の多板類相はマゼラン海峡の多板類相から構成種数が減っただけのものであることが判った。上記15種以外にこれまでマゼラン海峡から記録のあった9種について再検討を行ったところ,8種は標本ラベルの間違いや誤同定によって誤った記録,1種が実体不明であった。また記録はないが,本海域をはさんでコンセプション水道と南極半島ブランズフィールド海峡から報告されているサメハダヒザラガイ属の1種Leptochiton cf.sykesiは今後本海域でも採集される可能性がある。本海域に分布する種のうち4種に保育習性が観察された。このうちTonicia lebruniとIschnochiton strammeusは本研究が初めての報告となる。前者は雌が卵をトロコフォア幼生まで保育し,後者は殻板が全て形成される時期まで保育することを記録した。
- 2006-05-31
著者
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シレンコ B.
Zoological Institute of the Russian Academy of Sciences, Universitetskaya nab.1
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シレンコ B.
Zoological Institute Of The Russian Academy Of Sciences Universitetskaya Nab.1