大腿ヘルニア内蜂窩識炎性虫垂嵌頓の1例
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概要
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症例は75歳の男性で,右大腿部腫脹を主訴に来院した.右大腿部に硬い腫瘤を触知したが,疼痛,圧痛は認めなかった.腹部単純X線検査ではイレウス像は認めず,腹部CTでは右大腿部に腫瘤を認めた.血液検査では白血球数は8,880/mm^3と正常範囲であったが,CRPは6.5mg/dlと上昇を認めた.大網による大腿ヘルニア嵌頓を疑ったが,手術の同意を得られなかった.また,腹部・右大腿部の所見および検査成績から経過観察可能と考え,抗菌剤を投与,翌日手術を施行した.手術所見は右大腿部に6×3cm大のヘルニア嚢を認めた.ヘルニア嚢切開時,ヘルニア内容を肥厚した大網と考え,ヘルニア内容を摘出したが,ヘルニア内容は蜂窩識炎性虫垂であった.同一創より腹腔内を観察し,盲腸の発赤,肥厚と虫垂の一部遺残を認めた.遺残虫垂の追加切除を施行し,ヘルニア修復はMcVay法で施行した.今回,自験例を含めた本邦報告例17例に若干の文献的考察を加えて報告した.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 2006-11-01
著者
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