近畿、中国及び四国地方の原料牛乳の成分組成について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
近畿・中国・四国の三地方の中から,それぞれ特定な酪農地帯を選び,そこで集乳された混合原料牛乳の化学的成分組成を1年間にわたり,IDF法を中心に分析を行い,乳質の実態をみると同時に,成分組成の年間変動と,季節間,地域間の差違などについて統計的な解析をおこなって検討した.1.これら地方の原料牛乳の平均組成と標準偏差は,それぞれ蛋白質で2.93と0.108,脂肪で3.15と0.183,乳糖で4.45と0.160,灰分で0.69と0.021,そして無脂乳固形分では7.95と0.328であった.2.近畿・中国・四国地方の原料牛乳の中では,近畿地方のものが特に見劣りする.それには和泉・多紀・甲賀地区の低固形分の原料牛乳の乳質が大きく影響していた.3.各成分の年間を通しての変動を,変動係数から比較すると,灰分く乳糖<蛋白質く無脂乳固形分く脂肪の順であった.4.乳糖を除く各成分の年間推移は,冬に高く夏に低いという季節変動のパタ-ンを示した.5.平均組成値の高い地区の原料牛乳の季節変動は大きく,これに対して平均組成値の低い地方のものは,四季間の変動が比較的に小さくて,誤差変動が大きかった.6. 食品衛生法で定める牛乳成分の基準値にも達しないような,希薄な原料牛乳が可成りの量,生産されていることが推定された.7.原料牛乳の各組成は,地区間にも,季節間にも有意な差が認められ,三木・三次地区のものが優れているのに対し,甲賀・和泉・多紀地区のものは劣っていた.同し都市近郊酪農の形態をとるものの中でも,奈良県の御所地区は,先の和泉・甲賀地区とは対照的に,成分音量の高い牛乳を生産,他の酪農地帯のものと比較しても優れており,地理的環境や,一般的な酪農形態以上に,飼養管理の方法が,この相違の大きな要因のように考えられた.
- 大手前大学・大手前短期大学の論文
著者
関連論文
- 乳酸菌に関する最近の研究とヨーグルトへの利用の現状
- 牛乳成分の高度利用 : 牛乳からの新素材
- ヨーロッパにおける乳業の最近の研究とプロバイオティック食品を中心とした商品開発の動向について
- 牛乳の生理活性成分に関する最近の知見
- 乳酸菌および発酵乳の免疫賦活作用と発癌抑制効果
- 食品中のラジカルスカベンジャー
- ミルクの基本的成分の健康に対する貢献 : 乳タンパク質の機能性
- ビフィズス菌の機能とその利用について
- 牛乳・乳製品と酵素
- 飲用牛乳としての効能に及ぼす加熱処理条件の影響
- 「発酵乳とその効用」
- 食品加工技術の発展
- 牛乳に関する最近の研究 : 牛乳の生合成と栄養を中心に
- 「乳糖不耐症と低乳糖牛乳」
- ロングライフミルクについて
- 市販の壜詰牛乳に見られる紙栓からの洩乳と、紙栓の脱出についての考察
- 近畿、中国及び四国地方の原料牛乳の成分組成について