Wave Rider効果を利用した展開型回収機の概念とその成立性
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概要
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ロケット最終段に使用される高価なアヴィオニクス等を回収し、再使用することは打ち上げコストの削減や開発時間の短縮につながる技術である。本研究では、そのようなアヴィオニクス回収機の新しい概念として、Wave Rider効果を利用した展開型の機体を提案する。アヴィオニクス回収機は、ペイロード重量比等の関係上軽量である必要があり、また、占有体積の小さい機体が望ましく、さらに、クロスレンジを大きくするため効果的にリフトを発生させる必要もある。ここで提案する機体は、三角錐の頂点をヒンジ点とする展開型トラス構造であり、使用前の占有体積を抑えることができる。部材間は軽量で柔軟なシェル構造を用いており、この柔軟シェル構造部に適当なたわみを持たせることでWave Rider効果による揚力を得るものである。本研究では、このような柔軟シェル構造を持つ機体の超音速飛行体としての成立可能性、予備的な検討を行った。空力性能の把握は、主に風洞試験に基づく。 機体が柔軟シェル構造であるにも拘わらず通風中の模型は構造的に安定である。そのため、柔軟シェル構造部については、空気力に対して適度の強度を有していればよいことが分かった。また、大迎角時にはWave Rider効果による揚力の増大傾向が見られ、柔軟部位に適度なたわみを持たせることが有効であることが分かった。
- 宇宙航空研究開発機構の論文