ブルーノ・タウトの思索における「ガラス建築」の意図
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究の目的は、ブルーノ・タウトのガラスについての思索を考察することにより、彼の「ガラス建築」の概念を明らかにすることである。第二章 第二章ではタウトと文学者パウル・シェーアバルトとの関係について考察する。シェーアバルトは,彼のガラスの概念にもっとも影響を与えた人物として知られる。タウト自身は自分の著作の中で幾度もシェーアバルトを参照し、1914年にケルンで催された工作連盟展のために建設された「グラスハウス」をシェーアバルトに捧げている。一方のシェーアバルトもタウトとの往復書簡を通じて著された『ガラス建築』をタウトに捧げている。本論ではタウトのガラス建築に及ぼしたシェーアバルトの影響についてみてゆくが、この章ではとくに彼等の問の事実関係について論じてゆく。第三章 タウトは何故ガラスというものに惹かれたのか。この間題に答えるため、ガラスという素材の単に技術的な理由を超えて、「ガラス建築」という彼自身の概念の可能性について考察がされなければならない。タウトのガラスについての言及を通じて、彼がガラスに惹かれた二つの要因があげられる。その一つがガラスの材料特性としての独特の光の効果であり、もう一つは当時のドイツにおいて捉えられていたクリスタルの象徴的意味としてである。そこで第三章は「Light Effects of Glass」(III.1)と「The Symbolic Meaning of Glass」(III.2)の二節に分けられる。特に後者において、当時のタウトの幻想的なデザインの意味について考察するためには、当時のドイツにおける新しい文明への期待としてのクリスタルの時代的な考え方、及び彼の幻想的なデザインの象徴的意味についてゴシックとの関係として、それぞれを二項に分けて論じてゆく。これらの各章を通じてタウトによる「ガラス建築」の考え方について考察する。具体的に建築物の例としては1914年の「グラスハウス」を、そして「ガラス建築」のもっとも理論的な作品として1919年の「アルプス建築」を参照する。
- 社団法人日本建築学会の論文
- 2005-10-30
著者
関連論文
- ブルーノ・タウトの日本建築についての思索の研究 : 「デュアリズム」の表現について
- 建築における集合的見方について : ブルーノ・タウトの思索における研究
- ブルーノ・タウトの思索における「ガラス建築」の意図