インフォームド・コンセントの概念に関する一考察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
これまで、インフォームド・コンセント(以下IC)について議論するときには、患者個人の「医療に参加」や「自己決定」に焦点が絞られて議論されてきた。だが、アメリカでは、患者だけでなく、患者を取り巻く様々な「関わり」にも注目して、インフォームド・コンセントを捉えようとする概念が出てきている。こうした概念には2つの傾向があると思われる。ひとつは、「患者と家族等との『関わり』を重視したIC概念」である。そしてもうひとつは、「医師と患者との『関わり』を重視したIC概念」である。これらの議論を通じて、私は、ICの概念には、第1に、患者が「医師」や「家族」等との「関わり」の中で存在するということ、第2に、患者の意思が最も尊重されるという視点が必要であると考えた。この概念を実現するために、患者が「治療法について考える」過程と、患者が「治療法を決定する」過程との2つの過程に分けて、ICを捉えるべきだと提案したい。
- 日本生命倫理学会の論文
- 2003-09-18