ゲノム時代の生命倫理 : 医療と医学研究の狭問で(第14回日本生命倫理学会年次大会シンポジウム)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
2001年3月に文部科学省・厚生労働省・経済産業省は「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」を告示し、2002年6月には文部科学省・厚生労働省による「疫学研究に関する倫理指針」が告示された.こうしたー連の流れからは、ガイドラインを策定しその遵守を求めることで関連領域における医学研究の適正化を図ろうという行政の姿勢が見て取れる.これらの指針では、各々の研究機関や病院に設置されている倫理審査委員会が適正に機能していることを暗黙の前提として、研究の科学的妥当性と有用性の検討ならびに被験者・試料提供者の人権の尊重とプライバシー保護の観点に立った研究審査という任務を委員会に課している.しかし日本では、研究機関や病院における倫理(審査)委員会の設置さえ十分には把握されていない状況にある.三省指針等の立脚点である「倫理(審査)委員会が適正に機能している」という前提自体の妥当性については、日本の倫理(審査)委員会の実状を把握した上で改めて検討する必要があろう.我々のプロジェクトでは2002年3月〜4月にかけて、全国の大学医学部・医科大学、医学系研究所および病院など2,248施設を対象として「遺伝子解析研究を中心とした倫理審査委員会の現状に関する調査」を実施した.本報告では、調査を通じて見えてきた日本の倫理(審査)委員会の実状と問題点についての検討を行うと共に、研究倫理と医療ケアの倫理との乖離に対処するさいの問題点についても言及した.
- 日本生命倫理学会の論文
- 2003-09-18
著者
関連論文
- 倫理審査委員会改革のための7つの提言
- 日本における倫理審査委員会の機能および役割の強化に関する一考察〔含 付属資料:研究審査システムの確立と倫理審査委員会のインフラ整備について〕
- 予知医療の行方:生活習慣病の遺伝子診断が意味するもの (〔国立精神・神経センター精神保健研究所〕50周年記念特集 精神保健研究の現状と課題)
- 患者参加型医療と個人の医療情報 (特集 患者への診療情報提供はどうあるべきか)
- 遺伝子診断をめぐる倫理的問題 (特集 ゲノム時代と病院)
- ゲノム時代の生命倫理 : 医療と医学研究の狭問で(第14回日本生命倫理学会年次大会シンポジウム)
- 個人の遺伝情報の特性と遺伝子解析ガイドライン (第31回 医事法学会総会 研究大会記録) -- (シンポジウム/医療・医学研究における規制のあり方--多数の指針の策定に照らして)
- 絵野沢 伸ほか(著)「公共的な研究用ヒト組織バンク設立のための検討 : 国立小児病院における摘出ヒト扁桃リンパ組織バンク構築の試み」(組織培養研究. 19 : 163-183, 2000)に対するコメント : 組織提供者に対するインフォームド・コンセント手続きを中心として
- インフォームド・コンセントと心身医療