プロテインS欠乏症による上腸間膜静脈血栓症の1例
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概要
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症例は39歳の男性で,下血と腹痛を主訴に来院し急性腸炎の診断で入院した.入院時白血球数13,100/mm^3と上昇していたが,その他血液検査ならびに腹部CTでは特に異常を認めなかった.数日間の絶食補液にて症状はいったん軽快するも,再度下血,腹痛ならびに腹膜刺激症状が出現した.第11病日の造影CTで腹水と小腸壁の著明な肥厚,上腸間膜静脈血栓を認め,開腹手術を施行した.開腹時血性腹水大量,空腸約35cm,回腸約25cmが壊死に陥り,回腸で穿孔を認めた.回腸,空腸部分切除術を施行した.病理組織検査にて腸間膜静脈内に新鮮および陳旧性血栓が多発し,腸管壁の全層性出血性壊死を認めた.血液凝固検査でプロテインS抗原が24.2%,活性値11%と低値を示し,プロテインS欠乏症が本症例の原因と考えられた.プロテインS欠乏症に起因する腸間膜静脈血栓症は非常にまれであり,文献的考察を加えて報告した.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 2006-10-01
著者
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