骨芽細胞における周期的牽引負荷による活性酸素種産生とスーパーオキサイドディスムターゼの誘導
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概要
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活性酸素種(reactive oxygen species, ROS)は各種ストレスにより誘導され,多くの臓器において組織障害性を示す.骨組織におけるROSの意義を検討するため,教室では骨芽細胞に機械的ストレスを加え,ROSとその中和酵素のsuperoxide dismutase, (SOD)が発生することを証明している.これは機械的ストレスに対する骨の防御機構と思われたが,SODの誘導機構は不明であった.そこで細胞内ROS発生物質であるパラコートと細胞外ROS発生物質である過酸化水素を使用しSODの誘導を観察した.その結果パラコートは過酸化水素に比較し,有意に骨芽細胞からのROS発生とSOD活性を誘導した.また細胞透過性SODであるMn(III) tetrakis (4-benzoic acid) porphyrin (MnTBAP)は,有意にパラコートによるROS発生,SOD誘導を抑制したことから,細胞内ROS発生が細胞内SOD誘導に重要であることが示された.さらに骨芽細胞に周期的牽引負荷を加えた所ROSが発生しSODが誘導され,またMnTBAPはこれらを抑制した.これらの結果は骨芽細胞において機械的刺激によってROSが発生し,SODが内因性に誘導されることを示しており,正常骨改変システムの解明にとどまらず骨折治癒,さらには骨粗鬆症の予防につながる可能性を示している.
- 近畿大学の論文
- 2005-12-25
著者
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