マウス外傷性脳浮腫におけるaquaporin4の過剰発現と低体温による抑制
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概要
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Aquaporin4 (AQP4)は脳内水調節に関与し脳浮腫病態との関連が推定されている.脳損傷に伴う脳浮腫とAQP4の役割についてマウスstab woundモデルとアストロサイト細胞培養を用いて検討した.方法:マウスstab woundを作成し受傷後1-12日後に経時的に乾燥重量法により脳浮腫を,real time RT PCR法にてAQP4 mRNAを測定した.次に,高浸透圧負荷および低温が培養アストロサイトのAQP4 mRNA発現へどう影響するかについて検討した.まず,培養液を29℃,32℃,34℃の低温とし,一方,培養液浸透圧を上昇させ(300 mOsmから375 mOsm)AQP4 mRNA発現を検討した.低体温は外傷性脳浮腫の増悪を抑制する可能性が指摘されている.結果:マウスstab woundモデルでは浮腫は1日目より発生し3日目にピークとなった.AQP4 mRNAは2日目より発現が上昇し5日目にピークとなった.培養実験では培養液の高浸透圧負荷48時間後より培養アストロサイトAQP4 mRNA発現は増加した.29℃で培養液高浸透圧化によるAQP4 mRNA発現増加は抑制された.結論:脳損傷部では組織浸透圧が上昇し,浸透圧勾配により水が損傷部に移動する.浸透圧上昇は損傷脳部位アストロサイトのAQP4発現を増加させる.AQP4発現増加は水分子移動を加速し脳浮腫病態をさらに悪化させると推定される.低体温は浸透圧上昇によるAQP4 mRNA発現増加を抑制し脳浮腫病態悪化を防止する可能性が明らかにされた.
- 近畿大学の論文
- 2005-11-25
著者
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