北陸地方のアカマツ植物社会 : (6)辰口町地区のアカマツ植物社会の遷移について
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概要
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アカマツ植物社会がどのような生い立ちをし、どのような構造に成熟するかについて、石川県能美郡辰口町地内のアカマツ林を調査した。生い立ちについては、先づ藍藻類が雨後数日間裸地に出現しては消えるが、そのうちにウロコゴケが侵入し、地面を緑色にする。この緑色のウロコゴケが数年続くと、そのうちにコスギゴケが侵入し、その配偶体は地面から2cmほど直立する。コスギゴケが侵入し、次第に一面を被うようになると、草本や木本類の種子がめばえ、ウロコゴケやコスギゴケは日射をさえぎられるために次第に消えて行く。代りにハイゴケやシッポゴケなどの蘚苔類が見られると共に、草本ではオオバノトンボソウ、チゴユリ、灌木ではヒサカキやヤマツツジ、そして喬木ではアカマツが絶対的に優勢で、これにサルトリイバラなどの蔓植物がよじ登るようになる。辰口町地内では、このような様子がアカマツ植物社会の姿であろう。
- 金沢大学の論文
- 1985-03-31