模倣はいかに進化してきたのか? : 比較認知科学からのアプローチ(<特集>模倣)
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概要
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ヒトとチンパンジーの模倣能力とその発達を両種間で比較した.ヒトは生後数時間で他者の表情を模倣する.この新生児模倣は,チンパンジーにも備わっている能力であることがわかった.一方,新生児模倣のレベルを超えたより複雑な全身体的行為の模倣は,チンパンジーの大人にとって非常に難しかった.その理由は,チンパンジーは「身体の動きに関する」視覚情報を処理する点がヒトに比べて制約されており,物の属性や定位方向といった「物に関する情報」を手がかりに模倣するためであることが考えられた.模倣は,ヒトの系統がチンパンジーの系統と進化の過程で分岐した後,飛躍的に獲得した能力である可能性が示された.
- バイオメカニズム学会の論文
- 2005-02-01
著者
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