これはもはや社会調査ではないのか? : ハンセン病者研究とその展開(第19回社会調査の方法に関する研究会:調査と取材の接点を探る)
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概要
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1990年代なかばから始めたハンセン病者研究について,その発端から現在までを振り返り,調査経験を語る.ハンセン病の歴史は壮絶な事態の連続であったが,その状況を病者たちはどのようにして生きてきたのか.それを知るための方法として病者個人を焦点化するライフヒストリー・インタビューを採用した.その背景には学部時代に体験した質問紙調査への違和感があった.実際に調査をすすめるにあたりさまざまな問題に直面した.病者たちにとって過去を語ることは秘密を暴露することであり,苦痛を感じる営みであった.また,この間に起こった訴訟は病者たちの間に波紋をひろげ,調査者であるわたしもその「位置取り」について考えざるをえなかった.他方,訴訟は病者たちの語りを促進し,ハンセン病に関する社会的コンテクストを変えた.病者への聞き取りは,とりわけ社会復帰者に対して思わぬ「効果」をもたらした.調査という営みが病者個人の人生に直接影響する事態に直面し,「もはや社会調査ではないのか」という思いに駆られた.果たして,その答えは…….
- 2005-12-05
著者
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- 社会復帰者の「病いの語り」
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