古今和歌集の恋歌について : 「構造論」の授業における可能性(II.人文・社会科学系)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
古典和歌研究には「構造論」という分野がある。これは簡単に言えば、歌集を個々の歌の集積ではなく、統一された一つの作品として捉えて、集を成り立たせている原理や歌の配列の面白さを解き明かそうとするものである。このような研究で培われた方法を、古典の授業に応用することができるのではないか。たとえば学習者に、『古今集』の中で連続して並べられている十首あるいは二十首程度の歌を提示して、配列上の工夫と思われる点を自分なりに説明してもらう。一つの正解を求めるのではなく、さまざまな角度からの指摘があり得るはずである。配列の工夫を考えることは、古典和歌を主体的・多角的に読むこと、さらには、和歌の中で培われてきた美意識を発見することにつながるであろう。小稿は、そのようなアプローチの一例として、『古今集』恋歌の配列について述べたものである。
- 2006-02-28