連結計算書類導入に見る商法会計規制
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概要
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商法が会計を規制するのは,会計が利害調整機能を有するからに他ならない。しかるに2002年の商法改正による連結計算書類の導入は,情報開示の目的のみとされる。しかし,証券取引法の会計規制目的とは違い,商法は本来,公正・中立的な立場から私人(私的な組織)間の持分の衡平,すなわち利害調整を目的として会計規制を行うのである。商法上の計算書類ほ株主の意思決定前の事前情報及び債権者に対する状況報告であり,取締役の受託責任の遂行として行われる報告書である。連結計算書類も同様の機能を果たすべきものであり,利害調整目的の下でのあるべき連結会計制度とすべきである。そのためには連結ベースでの配当規制を行うと同時に,非任意債権者をも含めた債権者保護規定の充実が必要である。証取法連結会計の導入及び証取法会計規制に接近する商法改正の動きは,商法の政策法化の下で行われ,IASB=IOSCO協力体制の下で進められているマクロ視点での会計規制化の動きの反映である。
- 2005-03-30