再分析における処理負荷を増大させる非統語的要因 : 解釈の語用論的妥当性(思考と言語Session 2,人間による言語理解・言語処理)
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概要
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再分析処理に関してこれまでに行われた研究により,構造の再構築の困難さに伴って,すなわち構造を再構築するまでの段階で再分析処理の負荷が増大することが示されてきた.これらの研究とは異なり,本研究では,構造を再構築した後の処理に着目し,再構築された構造の解釈が語用論的に妥当でない場合にも再分析処理の負荷が増大することを示す.それにあたり,ある語が入力された際に単文から関係節を含む文へと再分析が行われるような文を用い,再分析の際に構築される関係節構造に基づく解釈の語用論的妥当性(pragmatic plausibility)が高い場合と低い場合とで処理負荷に差が生じるかどうかを検証した.事象関連電位を指標として実験を実施した結果,関係節の語用論的妥当性が低い条件で意味的・談話的処理の負荷を反映して惹起されるN400成分が観察され,語用論的妥当性の低さによって再分析処理の負荷が増大していることが明らかになった.このことから,文処理装置が再分析において構造の再構築のみならず,再構築された構造に基づく解釈の語用論的妥当性までも即座に計算していることが経験的に示されたといえよう.
- 2006-07-08
著者
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