緊急母体搬送入院直後に分娩にいたった産婦の心理過程の分析
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概要
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緊急に母体搬送を余儀なくされる産婦は,胎児のリスクが高く,緊急帝王切開となる場合も多い。特に,搬送入院直後に分娩にいたる産婦では搬送後の医療環境への適応準備が整っておらず,心理的にも非常に危機的な状況にあることが考えられる。今回,われわれは緊急母体搬送直後に分娩にいたった産婦10例の搬送前後の心理的傾向についての質的分析と搬送後の心理的回復過程の構造化を試みた。結果,8例は緊急帝王切開にいたり,搬送時の産婦の認識は「現実認識」「現実認識困難」に分かれた。「現実認識」はさらに「搬送が決まり安心」と「搬送への諦め」に,「現実認識困難」は「混迷状態」と「強度の防衛状態」に分かれた。母体搬送後の心理的回復の過程は,(1)「動揺・混乱」の段階を経て,次に(2)「混乱の自覚」,(3)「搬送時の混乱の表出と不安の解消」,(4)「予期的・具体的不安の表出」,そして最終的に(5)「母親役割行動への表現」の段階へといたることが明らかとなった。
- 日本母性衛生学会の論文
著者
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福島 洋子
北海道大学附属病院看護部
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大西 由希子
前天使大学看護栄養学部看護学科
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葛西 佳奈
前北海道大学病院
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栗林 佳奈子
国立成育医療センター
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福島 洋子
北海道大学医学部附属病院産科ナースステーション
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福島 洋子
北海道大学病院
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