松江市既成市街地における居住者の地域整備意識
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概要
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松江市既成市街地内において店舗経営者および居住者を対象に調査を行い,商店街の現状および地域整備意識を明らかにするとともに,今後の動向を探った。結果はつぎのとおりである。1)調査地区内における居住者の定着歴では,親の代またはそれ以前からの世帯が自分の代からの世帯を上回っており,定着年数においても長期間に及ぶ一方,高齢化の進行は顕著である。また,建物の構造および建築年数から見た老朽化についても対応策を検討すべきと思われる。2)店舗側から見た店に対する不満は,「駐車場の不足」が最大であり,市街地内であるための問題が顕在化する結果となった。次いで,建築年数の長さに対応する形で店の老朽化に対する不満が大きい結果となった。3)商店街の利用に関しては,全体的な利用頻度は「時々利用」が「毎日利用」を上回っていたが,高齢者の特に多い灘町地区においては,主な買い物先は町内のなじみの店および付近の商店街であり,半数以上が徒歩で出かけることからも,今後とも商店街に対する需要度は高いと思われる。また,天神町の居住者側では,自家用車等の利用と郊外大型店舗へ出かける率が高くなっており,今後の商店街での取り組み如何で新たな集客の可能性があることが伺えた。4)居住者の住環境に対する評価は,「公害の状況」「災害安全性」などの都市的な問題を除いて全体的に高く,特に「住宅・居住地への愛着度」の高い傾向が見られた。また,日常生活および通勤・通学に対する利便性を高く評価している結果となった。5)地域に対する定住志向は高いものの,同居および店舗・住宅の状態保持についてはこだわらない世帯が多く,今後の地域内での店舗および住宅の世代継承は,一定の割合を除いてそれ以上は確保しがたいと思われる。6)地域整備意識では,商店街としての整備希望が全体の60%を占め,最大となっていたが,具体的な整備項目については店舗側では駐車場整備が挙げられるのに対して,居住者側では歩道の整備,バリアフリー化などの環境整備的な項目が多く挙がっていた。また,全体的に景観整備に対する意識の高さが目立った。7)地域活動に対する参加状況は比較的活発で,今後の地域整備および地域活性化の動きに対してさらに積極的に関わっていくことが望まれよう。終わりに,本調査に御協力いただきました松江市自潟本町・天神町・灘町の皆様に感謝申し上げます。
- 2000-03-30
著者
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