服飾デザインにおける視覚反応の測定(第1報) : 衣服スタイルの嗜好とイメージ
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概要
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服飾雑誌の中から11種のスーツおよびワンピースを抽出し,これら11種の衣服スタイルについて,本学女子短大生80名を被験者としてSD法ならびに一対比較法により,嗜好傾向およびスタイルイメージに及ぼす主要な因子を求めた結果,次の諸点が明らかとなった。1)11種類の衣服スタイルについて好きな順位ならびに着装したい順位が一対比較法により明らかにされ,好きなスタイルが必ずしも着装したいスタイルとは限らず,好きでも着装したくないもの,また,好きではないが着装したいスタイルのあることが認められた。2)衣服スタイルにおけるイメージ間の相関係数は,「ドレッシイ」と「ロマンティックな」0.943,「モダンな」と「セクシーな」0.942,「落ちついた」と「ベーシックな」0.926と正の相関が高く,「かわいい」と「大人っぽい」-0.904,「ロマンティックな」と「地味な」-0.895と負の相関が高い。また,好きな衣服スタイルは「上品な」「美しい」イメージであることが相関係数よりわかった。3)衣服スタイルの視覚反応に影響を及ぼす主要な因子として第1因子に「落ちついた」「すっきりした」「ベーシックな」などで代表される成人的因子が抽出され,第2因子に「女らしい」「美しい」「ドレッシィ」などで代表される女性的因子が抽出され,第3因子に「清楚な」「フォーマルな」などで代表される儀礼的因子が抽出された。そして第3因子までの累積寄与率は87.15%となった。以上,今回は線画による衣服スタイルのイメージについて検討したが,今後,線画と写真,あるいはモデルに顔がある場合とない場合について衣服スタイルの視覚反応に及ぼす影響を調べてみたい。終わりに,本実験にあたり,御懇切な御指導を賜わりました大阪市立大学名誉教授田中道一氏に深謝いたします。なお,本研究の一部は第33回日本家政学会総会において発表した。
- 1987-03-30
著者
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