地直しに関する研究(第2報) : 芯地・裏地について
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概要
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被服を構成する際,裁断前になされる地直しについてその必要度及方法を究明する為この研究を行った。表地については第1報で報告したので今回は芯地5種,裏地5種を試料とし,縮絨店処理,霧吹処理,水浸処理の地直しをした試験布が,ドライクリーニング,湿式洗濯,水浸30分操作によりいかなる収縮性を現すか,又3種の処理の効果等について実験し2・3の考察を得たので報告する。各地直し後のたての収縮率は芯地類は0.20%〜1.60%,裏地類は0.15%〜3.30%で意外に多く収縮している。よこはたてより縮が少いが麻芯だけはよこの方が多く2.51%〜3.31%を示す。毛芯とパンピースでは縮絨店処理が最も収縮が少く,全体としては霧吹処理より水浸処理が高い収縮率となっている。ドライクリーニングにおいては伸縮加工布をのぞけば試料間に大きい相違はなく,1回目縮絨店処理0.15%〜0.55%,霧吹処理-0.35%〜1.16%,水浸処理-1.19%〜0.40%で回を重ねるごとにやゝ伸びぎみになってゆく。湿式洗濯ではドライクリーニングに比べると収縮率は相当高くなり処理布では2%〜3%程度のものが多く,麻芯のよこは4.39%までになっている。無処理布は処理布に比べドライクリーニングで0.30%〜0.90%,湿式洗濯で2%〜3%,特に裏地の中には,多いものは処理布より5%も収縮率が高くなっているものもあるので,湿式洗濯は勿論,ドライクリーニングにするものでもそれぞれ適当な地直しをして,くるいを最少限に止める様にしなければならない。全般的に見て収縮率の点だけから見ると地直しの内水浸処理が最も効果が大きい。芯地,裏地は各種の表地と重ねて用いられるのでそれらの収縮率の差がある程度調整出来る様に縫製で注意することも必要である。1報2報では表地,芯地,裏地を単独にしかも収縮性のみから見て来たが,表地に芯地を八刺したり3枚重ねて縫製してある場合はお互に拘束して影響し合うことも考えられるので,今後はこの場合の収縮性の相違点や布味の変化について研究したいと思う。最後にこの研究にあたり御指導御助言下さいました文化女子大学成瀬信子先生に深く感謝致します。
- 島根県立大学短期大学部の論文
- 1975-03-28