門脈血再灌流後肝障害におけるNKT細胞および顆粒球の関与
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概要
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急性肝虚血後の再灌流障害における白血球の関与を検討するために,マウスの門脈を30分間遮断後開放して肝虚血再灌流したモデルを作成し実験に用いた.このモデルマウスにおいて,肝内のリンパ球数が経時的に変動して肝障害が引き起こされた.肝内ではNKT細胞が最も増加しておりT細胞,NK細胞はわずかに増加,またはある時点においては減少していた.肝内のNKT細胞の増加を反映して血清中にはIL-4,IFN-γ双方の産生量が増加しており,Th0タイプサイトカイン産生されていた.NKT細胞欠損マウスであるCD1dノックアウトマウス,抗アシアロGM1抗体をin vivo投与しNK細胞を除去したマウス,抗NK1.1抗体をin vivo投与しNK細胞,NKT細胞を除去したマウスいずれにおいても肝障害が抑制されていた.またCD1dノックアウトマウス,抗NK1.1抗体投与マウスは, NK細胞のみを除去したマウスより肝障害が抑制されたことからNKT細胞がNK細胞を介しNK細胞の細胞障害活性を増強している可能性も考えられた.NKT細胞を除去したマウスは,肝障害を完全には抑制しなかったため他の白血球の関与も検討した.最も考え得る他の白血球は顆粒球であり,事実顆粒球が肝障害の程度に比例し肝内に蓄積しており,再灌流後肝障害を引き起こしている可能性が示唆された.本研究において,NKT細胞および顆粒球双方の蓄積が再灌流後肝障害を引き起こしている重要な一因である可能性が示唆された.
- 新潟大学の論文
- 2004-09-10
著者
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