GM-CSF吸入による重症特発性肺胞蛋白症の治療研究
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概要
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特発性肺胞蛋白症は,肺胞及び終末気管支に過剰なサーファクタントの貯留がおこり,進行性の呼吸困難を来す疾患である.患者の約3分の1は,重症の呼吸不全に陥るが,治療は,全身麻酔下の全肺洗浄法や反復区域洗浄が一般的で,患者の負担や苦痛が大きく,新治療法が望まれていた.我々は,2001年より3例の重症患者にGM-CSF吸入療法を試み,呼吸機能が劇的に改善することを確認した.ついで,2002年に多施設共同臨床試験を開始し,2004年12月までに20例治療し(うち1例は再治療),10例で動脈血酸素分圧,呼吸機能の改善を認めた.3年間の臨床試験で,本治療の有効性と安全性が確認されたが,本治療が有効であったのは,約50%の症例であり,GM-CSFが高価であることを考えると,どのような症例に本治療が有効であるのかというpredictive valueの検索が必要であると思われた.また,治療プロトコールの検討も今後の課題である.基礎検討としては,何故抗GM-CSF自己抗体ができるのか,治療によって肺の自己抗体が何故減少するのかという薬効機序も明らかにしていきたい.
- 新潟大学の論文
- 2006-02-10
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