転石潮間帯におけるヒメアサリの個体群動態
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概要
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転石潮間帯に生息する二枚貝ヒメアサリについて, 密度変化・加入・成長・生残・空間分布などの生活史特性を明らかにした。西九州, 天草の転石潮間帯中潮域でコドラート法により定量採集を1年間行い, サイズ頻度分布からコホート解析を行った。ヒメアサリの密度は小型個体の加入により季節的に大きく変化した。また, バイオマス(殻込み乾燥重量)も2年目の個体の減少により, 顕著な季節変化を示した。小型個体の加入は真夏を除いて通年みられ, 少なくとも9ヶ月間継続した。死亡率は1年目と2年目のコホートで違いはなく, ほとんどの個体が2年でその生涯を終えた。殻成長は夏場に明らかに大きく, 1年目で14mm, 2年目で22mmに達した。加入個体と2年目の個体の空間分布を解析したところ, 両者の密度に正の相関が見られた。すなわち, 加入個体は2年目の個体がより多く分布する地点に多い傾向が示された。これらの生活史特性を, 異なった環境に生息する同属の種であるアサリと比較しながら考察した。
- 2000-03-31
著者
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