ムラサキイガイの初期幼生殻の発達過程
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概要
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ムラサキイガイ(Mytilus galloprovincialis Lamarck)の幼生殻形態を走査型電子顕微鏡を用いて観察し, その発達過程を記載した。水温15.0-18.2℃の条件下で, 受精後16時間でトロコフォア幼生が出現し, さらに約40時間を経過してベリジャー幼生に変化した。トロコフォア幼生中期に楕円形の一枚の有機質薄層からなる原殻Iが現れた。時間とともに原殻Iはひょうたん型に変わり, 中央のくびれに沿ってヒンジが出現して2枚の殻が形成された。受精後約70時間を経過したベリジャー幼生初期に原殻Iの石灰化が確認され, さらに受精後約80時間で, 原殻Iの周囲に明瞭なくびれを伴って原殻IIが発達し始めた。有機質でできた1枚の楕円形の殻は, 他の二枚貝類ばかりでなく単板類, 腹足類, 頭足類の発生初期にも確認されることから, 貝殻亜門の共有派生形質のひとつと解釈される。
- 日本貝類学会の論文
- 1999-09-30