房総半島の潮間帯の岩盤と転石場における軟体動物の分布
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概要
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岩盤と転石場が隣接する潮間帯での, 移動性軟体動物の分布様式を明らかにするため, 房総半島太平洋岸の岩礁潮間帯で, 底質・潮位・植生によって6つの区域を設定し, そこで1991年11月と1992年6月に軟体動物の定量調査を行なった。全出現種37種の内, 岩盤だけから出現した種は17種, 岩盤と転石場の両方で出現した種は12種, 転石場だけから出現した種は8種だった。帰家行動を示すことが知られている種のほとんどが岩盤だけから出現し, 転石場には分布しなかった。転石場は波などによる攪乱が大きいために, 帰家する種にとって, 安定的な休息場の確保が不可能であると推察された。優占種の内, 植食者は, 大型藻類の被度の低い岩盤上部と転石場中部に多く見られた。植食者の多くの種において重要な食物資源である石上微小藻類が, 大型藻類に被覆されない場所に多く生育するものと推察される。また肉食者は被食者の個体密度の高い所に多く観察され, 食物資源の分布が肉食者の分布に影響することが推察された。
- 1998-07-31
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