商店街に関する政策科学的考察 : 商業政策における商店街の捉え方
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概要
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論説(Article) 本稿は、わが国の商業政策における振興政策として、長年にわたりその主軸を担ってきた商店街を対象とする政策に関する研究である。 商店街を対象とする政策は、1998年に、大規模小売店舗立地法、中心市街地活性化法、改正都市計画法の、いわゆる「まちづくり3法」が成立し、大店法を中心とした調整政策が大きく政策転換した後も、引き続き国や自治体の小売商業振興政策において重要なポジションを占めている。しかしながら、一方では、「商店街の疲弊や衰退に歯止めがかかっていないのではないか?」あるいは、「商店街政策や施策が機能していないのではないか?」 との指摘がなされているのも事実である。 本研究では、商店街の捉え方と本質把握の重要性を指摘することを目的に、3つの考察を行った。1点目は、商店街の概念の考察である。商店街には、空間的概念と組織的概念が存在し,この2つの概念の混同とズレから生ずる問題点を指摘する。2点目は、組織としての商店街の意思決定に関する考察である。商店街組合が戦略的な行動を選択しにくいメカニズムを説明する。3点目は、商店街の3段階の形成と、特に政策形成関係者としての位置付けの考察である。第1次百貨店法、第2次百貨店法、大店法の3つの法律の制定局面における政治的動きの特徴を説明する。 最後に結論として、商店街の多面性を理解し、本質を把握することが、商店街を対象とする政策を進めていく上で極めて重要であるということを指摘するとともに、合わせて商店街研究の多様性,学際性を示している。