ヤコウガイの右腎臓開口部の性的二形による雌雄の判別
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概要
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ヤコウガイTurbo marmoratusは南方海域の貴重な浅海資源として利用されてきたが, 現状では資源的に極めて枯渇した状態にあり, ホラガイ同様, 再生産に必要な資源の存続を計る必要がある。ヤコウガイの雌雄の判別は外観からはできないとされているが, 成熟個体が軟体部を伸長させた時に直腸基部の右腎臓開口部分の突出部の形状を目視観察した結果, 突起の形状に性的二形の特徴が認められた。観察には1988年6月から1993年8月の間に採集した200個体の成貝を用いて, その有効性を確かめた。雌の突起部は雄と比較し, 黄白色の丸みを帯びた蕾状の形状を示し, 雄の突出部はそれに対して数分の1の三角形に近い形状となる。突起の基部から頂点までの長さと基部の巾の相対比を比較すると, 雄が0.93, 雌が1.47(t=4.873, d.f.=9, p<0.001)となる。この雌雄判定法はヤコウガイの種苗を生産・放流する事業を行うに際し, 母貝の飼育管理上の必須の技術となるであろうし, 他のTurbo属の雌雄判別にも応用が可能であろう。
- 1994-10-31
著者
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小池 康之
Tokyo University Of Fisheries
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山川 紘
東京水産大学資源育成学科
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菊谷 賢一
日本国際協力事業団
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菊谷 賢一
Fisheries & Aquaculture International Co., Ltd.
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山川 紘
Tokyo University of Fisheries
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