カサガイ類の活動パターンの種内・種間変異
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概要
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潮間帯に生息する6種のカサガイの活動パターンの種内・種間変異を, 生息場所の潮位と幾つかの潮汐条件の下での活動の強さとの関係に注目して, 分析した。潮間帯上部に位置する調査場所では, 夜間の干出時に, その岩礁の高所に生息している種(マツバガイ・カラマツガイ)の方が, 低所の種(ウノアシガイ・ヨメガカサガイ)よりも活発に活動した。全体として潮間帯の全範囲をカバーする3つの調査場所に生息していた全6種10個体群について, 潮位と活動パターンとの関係をみてみると, 昼間の水没時に活動した個体の割合は, 潮間帯下部に生息する種の方が上部の種よりも高かった。ヨメガサガイは, 3つの調査場所の潮間帯中一下部に4つのグループが生息していたが, 下部に生息するグループほど, 昼夜両方の水没時に活発に活動した。議論では, 乾燥条件と捕食圧の影響を強く受ける時間帯を避けつつ摂食時間を確保しょうとするカサガイの行動上の可塑性が, こういった種間・種内変異を産み出している可能性を指摘した。
- 日本貝類学会の論文
- 1994-08-31
著者
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