日本産カワニナ属 4 種の核型
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概要
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日本産カワニナ属SemisulcospiraのうちカワニナS. libertina, キタノカワニナS. dolorosa, ハコネカワニナS. trachea, ナカセコカワニナS. nakasekoaeの4種について染色体数及び核型の再検討を行なった。染色体の観察はエアドライ法を用い, 通常のギムザ染色を行なった。各種の染色体数, 核型はS.libertina, S. dolorosa, S. tracheaの3種とも同一で2n=36, メタセントリック=16, サブメタセントリック=14, アクロセントリック=4, テロセントリック=2であった。この結果から殻の形態の変異幅が大きく, 互いに酷似する個体がある種は積極的に別種とする根拠がとぼしいと考えられる。S. nakasekoaeの染色体数, 核型は2n=38, メタセントリック=12, サブメタセントリック=24, テロセントリック=4であった。この結果は, Burch (1968)の2n=26と大きく異なり, またWatanabe (1984)による琵琶湖特産種のS. moriiの染色体数2n=32を含めて琵琶湖特産の種間で染色体数, 核型に分化があることを示唆している。
- 1986-07-31