海産二枚貝ウチムラサキ Saxidomus purpurata の神経節における色素および色素顆粒の性質
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概要
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ウチムラサキの神経節には, 肉眼的に赤く見えるほどの色素が存在する。この色素はヘモグロビンに似たヘム蛋白質で, その分光学的性質は酸素化型, 一酸化炭素化型では哺乳類のヘモグロビンと同じ特徴を示すが, 脱酸素化型では可視部に2つのピークを有する点で異なっていた。カロチノイド系色素は検出されなかった。このヘム蛋白質はサイトゾームあるいはリポコンドリアと呼ばれる顆粒に局在する。この色素顆粒は神経細胞体に多数存在し, グリア細胞にも例外的に見られることがあるが, 神経節中央部のニューロパイルには認められない。色素顆粒は電子顕微鏡により直径1μm内外, 一重の単位膜に包まれた球形の電子密度の高い顆粒として観察される。色素顆粒の周辺には多数のグリコーゲン顆粒が見られるのが普通である。不連続密度勾配遠心により, 色素顆粒の密度は1.05∿1.07と非常に低いと推定された。
- 日本貝類学会の論文
- 1981-11-15
著者
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入江 俊明
Department Of Biology Faculty Of Science Osaka University
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田中 博
Department of Biology, Faculty of Science, Osaka University